日本品質保証機構とは?国内最大級の認証機関を弁理士が解説

暮らしに欠かせない電化製品や自動車、衣服の素材や自宅・職場・公共施設などの建物を構成する建材。私たちは、日々の生活を営むにあたってさまざまな道具や設備を利用しています。そして、これらは国で定められたルールに合格し、安全性を保証されて私たちの身近なところにやってくるのです。

私たちの生活を守るために制定されたルールや、それらを認証するための専門機関についてわかりやすく解説します。

第三者認証機関のさきがけ「日本品質保証機構」

Nihon hinshitsu hoshō

我が国には、「日本品質保証機構(Japan Quality Assurance Organization /略称JQA)」という一般財団法人が存在します。

設立は、1957年。設立当初は輸出検査法の検査機関として、財団法人「日本機械金属検査協会」という名で電子・機械製品の検査を担っていました。

そこから徐々に計測機、建材……と領域を広げ、現在では電気製品・医療機器の認証・試験から地球環境に関する評価・支援まで、国内最大規模の幅広いサービスを提供しています。

そして、ISO9001・ISO14001などのマネジメントシステムにおいて国内最多の総認証件数を誇り、JISにおいても国内外最多の規格に対応できる認証機関として、あらゆる分野をリードする存在なのです。さらに、世界50か国以上の主要認証機関と提携するなど、企業のグローバル展開もサポートしています。

「日本品質保証機構」の提供サービス

Nihon hinshitsu hoshō sābisu

ISO認証

世界基準の物差しとなっているISO規格(詳細は次項目にて解説)において、マネジメントシステムの支援に注力し、国内企業の組織力の向上を支えています。

たとえば、「自社製品の品質を高めたい」「会社の強みを伸ばしていきたい」「より良い人材を育成したい」……このような企業のニーズに対し、ISO認証の初期から審査に携わってきた実績を活かし、これまでに培ってきたノウハウや知見を基に審査・教育・支援までトータルでサポートしています。

電気製品・医療機器の認証および試験

PSE規格(詳細は次項目にて解説)や消費生活用製品安全法に則ったPSC規格、医薬品医療機器等法、電波法など、電気製品・医療機器にまつわる幅広い認証・試験を実施しています。

電気製品や医療機器は、製品そのものに欠陥があれば人命を失う可能性もあるため、素材や品質、使用方法などにおいて、高い安全性を求める基準が定められています。

「日本品質保証機構」では、これらのセンシティブな扱いが必要な製品に対し、国内外の基準や規格に基づいた試験や認証を行なっています。

計測器の校正および計量機の検定

長さや角度・質量を測るものから、温度、湿度、密度、硬さ、超音波まで、幅広い計測器の校正を行なっています。ここで指し示す「校正」とは、計測器に表示される値と、それに対応される国際標準の値との関係を、特定の条件下で確認する工程をいいます。

機械・建材試験/安全対策適合証明

建設材料や金属材料・機械製品の試験、データセンターなどにおける安全対策基準に則った適合証明を行なっています。

安全対策適合証明では、膨大な情報システムの管理・運用でさまざまな課題を抱える企業において、データセンターの安定的な稼働を実現するための「情報システム安全対策適合証明」を実施。データセンターを構える施設や設備が安全・安心であることを客観的な視点で判断できる指標となっています。

JISマーク認証

全世界を対象に、JISマーク認証(詳細は次項目にて解説)を行なっています。国内の製造・販売・加工・輸入業者はもちろん、海外から日本に向けて輸出を行なう業者も対象です。

地球環境に関する審査・評価・支援

温室効果ガス排出量検証をはじめとするさまざまな制度の審査・評価から、地球環境問題をテーマとしたセミナーの実施まで幅広いサービスを提供し、社会・環境活動を支援しています。

ロボット安全評価・認証

サービスロボットや産業用ロボット、その他車載製品まで、ロボットの安全評価・認証を実施しています。「日本品質保証機構」は、世界初の生活支援ロボットの認証を行なったことでも知られています。

「日本品質保証機構」のサービス対象となる主な規格

Nihon hinshitsu hoshō

ISO

ISOとは、International Organization for Standardizationの略称であり、日本では国際標準化機構と訳されます。ISOはスイスのジュネーヴに本拠地を構え、日本を含む世界163か国が加盟している国際機関です。

ISOの役割は、世界基準で同じ目線を統一できるルールを設けること。たとえば、あなたの身長が180センチメートルあるとして、これを日本古来の単位に置き換えると約6尺となります。

同じように、180センチメートルをアメリカで主流とされる単位に置き換えると、5フィート10インチとなります。しかし、現代では多くの国でメートル法が採用されているので、「尺」や「フィート」ではなく180センチメートルと伝えることで、国境を越えて身長を正しく認識してもらうことができるのです。

また、ビルや商業施設などで表示が義務づけられている緑色の非常口マークも、ISO7010という国際規格が基になっています。こうした単位や標識などが世界中で統一されていることで、異なる言語を話していてもさまざまな事柄を共有できるのです。

また、ISOの規格の中には「マネジメントシステム」が含まれています。マネジメントシステムとは、組織のルールや、それらを管理するための仕組みのことです。これがISOで規格化されることによって、会社への信頼感に繋がっていくとされています。

わかりやすくいうと、ISOが定めるルールを守っていれば、おのずと労働環境が改善されて製品の品質が高まっていくというイメージです。つまり、ISOの基準に則った経営ができる会社イコール社会的信用度が高い会社という方程式が成り立つのです。

一方、ISOで一番有名なISO9001は、皆さんの中にも所属企業で取得・運用経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

実際に、ISO9000シリーズはISOの中の大ヒット作であり、これまでに全世界190か国で120万件以上取得しており、日本国内でも4万件以上取得しているといわれています。

ところが、品質マネジメントシステムに関する規格であるISO9001は1987年にイギリスの英国規格協会(BSI)が中心となって制定されましたが、その背景には、欧米が当時の日本製品の品質の高さに危機感を抱いたことがあるとも言われており、日本企業にとって、ISO9001の取得により品質レベルが上がったのか?という反省もあるといわれています。

PSE

PSEとは、Product Safety Electrical Appliance and Materialsの略称であり、電気用品安全法のことを指します。電気用品安全法は、電気用品における危険や障害を防止する目的に制定された法律です。

そして、この電気用品安全法に基づいて、国が定めた安全基準を満たした製品に表示されるマークをPSEマークといいます。

PSEの対象品目は全部で457品目あり、電源コンセントに繋ぐタイプの家電製品やモバイルバッテリー、LEDを用いた電灯器具、照明器具、家電以外では自動販売機なども対象となります。

もしも、電気をつかって稼働させる道具や設備に欠陥があり、火災や爆発などの事故が起きては大変ですよね。

テレビや新聞などで、旧式の暖房器具などに発熱や火災のおそれがあるとして、メーカーが回収を呼びかけているのを見たことがあるという方も多いでしょう。PSEとは、そういった事故を未然に防ぎ、誰もが安心して電気用品を使用するために欠かせない規格なのです。

JIS

JISとは、Japanese Industrial Standardsの略称であり、日本産業規格のことを指します。JISの目的は、

「さまざまな鉱工業品の品質の改善、生産の合理化、取引の単純公正化、使用や消費の合理化を 図ること」(経済産業省『暮らしとJIS』より)

https://www.meti.go.jp/policy/economy/hyojun-kijun/keihatsu/pamphlet/pdf/kurashitojis.pdf

具体的には、私たちが日々つかっている電化製品などについて、材質や製品本体における種類、形式、形状、寸法、構造、品質、製造段階での生産方法、設計方法、試験方法、検査方法、さらに消費者の使用方法などについて、標準が定められているのです。また、この基準を満たした製品に表示されるマークをJISマークといいます。

たとえば、エネルギー容量さえ一致していれば乾電池のサイズはメーカーを問わず一致していますよね。

また、電子レンジであれば、価格を問わず必ず加熱室にお皿や台があり、そこに食品を載せて加熱するというシステムになっていますよね。こうした、誰もが安全に操作・使用ができて、一定の基準に則った効果を得られるようになっているのもJIS規格によるものなのです。

ところで、このJIS規格が2019年7月、実に70年ぶりに改正されたことはご存じでしょうか?上記のISOのほうは50年以上前からすでにISO9001のような品質マネジメントシステム(経営管理手法)が規格の対象となっていたのに対して、JISのほうはこれまで、「日本工業規格」という名の通り、鉱工業製品(いわゆるモノ)に対象が限られてました。

その結果、今やGDPの70%以上を占めているサービスや、最近経営資源として着目されているデータ等はこれまでJISの対象となっていませんでした。

これが日本の産業競争力の世界的な凋落の一因になったともいわれており、ようやくこれを「日本産業規格」と改めて、ISO等のスコープに追いついたものです。なお、英語のほうは、「Industrial」という「工業」とも「産業」とも訳せるものを使用しており、英語表記は変わりません。

まとめ

毎日なにげなく使用している電化製品や、仕事に欠かせない電気設備など、私たちが安心して生活を営んでいくために制定されているさまざまな規格や基準。

それらを遵守するためには、企業努力が欠かせません。そして、国内外の企業が安定的に事業を継続していくにあたって、その屋台骨を支えているのが「日本品質保証機構」なのです。